独占禁止法に関する問題点(国際編)

私は弁護士ではありませんし、テレビに出演しているふりもしていませんが、さまざまな国でビジネスを管理してきた国際的なビジネスエグゼクティブです。 今回私が説明できることは、独占禁止法は国によって意味が異なるので、法的な観点からではなく、ビジネス的な観点とそれに関連しておこる結果について説明したいと思います。

私が若くて大学生だったころ、独占禁止法とは「価格操作」であり、違法であると教えられました。 しかし、私がそれ以降最近学んだことは、独占禁止法とは、不公平なビジネス慣行と見なされるものすべてであるということです。「 不公平」とは何を意味するのか、曖昧な表現ですね。 私が経験したことは、それは、ある国の規制当局が何を不公平だと考えるかによるということです。 ですから、外国で活動する外国企業としては、どんなことでも不公平とみなされる可能性があるので、細心の注意を払わなければなりません。 いくつか例を挙げてみましょう。

外国の物流会社で働いていた私は、営業担当者と価格について話し合い、特定の事業分野のビジネスを拡大するためにマーケティングキャンペーンを実施することにしました。私はセールスマネージャーに、このキャンペーン用の新価格を知らせるメールを送りました。 さて、そのマネージャーはどうしたでしょう?  彼はそのメールを営業チームに転送し、営業チームの販売目標達成へのモチベーションを上げようと思って、「競争相手を打ち負かそう」というコメントを添えてそのメールを転送したのです。

さて、そのチームのある営業担当者は、彼の顧客の一人にそのメール(以前のメールのやりとりを添付したまま)を送り、ビジネスを獲得したいがために、新しい価格を提案できることを示唆しました。 では、その顧客はどうしたでしょう? 彼はそのメール(やりとりを添付したまま)をその国の国営航空会社に転送し、当社が提示した料金以上のことができないかか尋ねたのです。 その航空会社の人たちは、「競争相手を打ち負かす」というコメントを読んでショックを受け、そのメールを政府職員の友人に転送したのです。

次に起こったことは、政府が私たちを独占禁止法に違反した不公正なビジネス行為をしたと非難し、この行為をやめなければ会社を閉鎖すると勧告してきたことでした。 私たちはそれから1ヵ月間、これは特定の顧客層をターゲットにした妥当な価格の通常のマーケティングキャンペーンであることを当局に証明しなければならず、それを証明するために、膨大な量の企業データ(顧客セグメント別)を提出しなければなりませんでした。 そして、その発言をした営業マネージャーは、チームのモチベーションを上げようとしただけで、会社の戦略を代表して言っているわけではないことを説明しなければなりませんでした。 

この問題はやがて解決しましたが、1年後、別の国で同じようなことが起こりました。ある支店長が、当社が公表価格を引き下げているとメディアに伝えたのです。 当局は「略奪的価格設定」と称してすぐに取り締まりを行い、価格設定をすぐに元に戻さなければ深刻な事態に陥ると伝えてきました。 私たちはすぐに勧告に従いましたが、当社の行動が、市場の競合他社の価格に一致させるためのものであり、略奪的な価格設定ではないことを同国の当局に説明するのに6ヵ月以上を要しました。会社は多くの証拠を提出し、長い議論を経て、最終的に “我々はあなたたちを監視していきますよ “という強い注意勧告を受けた上で、事業続行が許されました。その他にも世界の各地で起こった例をたくさん挙げることができますが、まずはこの経験からいくつかのヒントを得ることができると思います。

  1. 外国では、注意して最善の行動をとらなければなりません。メールであれ口頭であれ、発言には気をつけ、社内外で劇的な発言、または扇情的な発言をしないように、スタッフ全員に指導する必要があります。
  1. 外資系企業が他国に進出すると、当局は国粋主義的な懸念を抱きます。 当局は貴社の進出を望んでいるわけではなく、WTOやその他の二国間貿易協定の一環として、自国が他の市場にアクセスできるようにするために、受け入れ国が同意しなければならないのです。
  1. 規制当局は、あなたのビジネスや市場のダイナミクスを理解していません。 規制当局が答えを求め始めたときに、規制当局に理解してもらうことは大きな問題であり、多くの場合、規制当局は耳を傾けてくれず、ただ自分の権限を行使したいことが多いのです。 規制当局は、私が以前の記事で紹介したマーケティングや価格設定の戦術、すなわちセグメント価格設定セグメントコストタイプに精通していないため、彼らに理解してもらうことは困難な作業となり得ます。
  1. マーケティングキャンペーンが他の顧客セグメント、または地域の競合他社のキャンペーンと比較してどのように位置付けられているかを証明するために、しばしば、企業の機密データを当局に提供することが必要になります。ただし、国によっては、会社のデータが現地の競合他社に「漏洩」しないという保証がありません。
  1. 話し合いがうまくいかない場合は、その国にある自国の大使館の商務部に連絡して、外交官にその国の担当者とのハイレベルな会議を手配してもらい、あなたの案件を説明してもらうことができます。 大使館の職員は、あなたが無実である限り、あなたのケースをサポートしてくれます。 ですから、あなたが正しいことを確認してください。
  1. 最後に、何よりも重要なアドバイスですが、そもそもこのようなことが起こらないようにしてください。 何ヶ月もかけて(そして弁護士費用もかけて)規制当局を説得したり、会社の機密データを危険にさらしたりするよりも、自分の行動や発言がもたらす潜在的な影響についてスタッフを教育する方がはるかに簡単です。 そもそもあなたの会社をそこから排除したいと考えている人が言い訳するために、無実の発言や行動を文脈から外して切り取ってあちらの都合の良いようにすり替えてしまう可能性があります。

独占禁止法には、商品やサービスの供給をある特定の企業に有利にならないようにコントロールするような分野もあります。 価格の問題だけではありませんので、常に法的なアドバイスを受けたり、独占禁止法のオンラインコースを受講して知識を深めてください。時間や労力を費やする価値は十分にあると思います。

Published by Charles K. Maguire

Logistic & Revenue Management business consultant with 25 years of experience in a major logistic company

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